コーポレートガバナンス

Corporate Governance

コーポレートガバナンスの状況

基本的な考え方

当社は、変動する経済環境に対応した迅速な経営意思の決定と、経営の健全性を図ることによって株主価値を高めることを重要な課題と考えており、これを実現するために、株主のみなさまをはじめ、取引先、地域社会、従業員といったステークホルダー(利害関係者)との良好な関係を構築するとともに、取締役会、執行役員会などの各機能を強化・改善しながらコーポレートガバナンスの充実を図っています。

コーポレートガバナンス体制

取締役会

取締役(監査等委員である取締役を除く。)6名、監査等委員である取締役が4名(内3名は社外取締役)で構成されています。原則として毎月1回開催され、法令、定款および社内諸規定に従い重要事項を決定するとともに、監査等委員である取締役により業務執行状況を監督しています。

活動実績

年度 開催回数/出席実績
2022年度 全16回/全取締役出席:16回
2021年度 全16回/全取締役出席:15回

監査等委員会

4名の監査等委員である取締役(内3名は社外取締役)で構成され、原則として毎月1回開催されています。取締役(監査等委員である取締役を除く。)ならびに執行役員の業務執行を厳正に監査し、また、内部監査室等の管理部門や会計監査人との情報交換に努め監査の実効性を確保しています。

活動実績

年度 開催回数/出席実績
2022年度 全14回/全監査等委員出席:14回
2021年度 全14回/全監査等委員出席:14回

指名・報酬諮問委員会

取締役会の任意の諮問機関として設置され、4名の取締役(内3名は社外取締役)で構成されています。取締役の指名、報酬に関する重要事項等の決定に際し、独立社外取締役の適切な関与・助言を得ることにより、独立性・客観性と説明責任を強化し、当社のコーポレートガバナンス体制の一層の充実を図ることを目的としています。

活動実績

年度 開催回数 主要な決議事項
2022年度 3回 取締役の選任/解任に関する事項、執行役員の選任および解任に関する事項、取締役の報酬等の内容など
2021年度 3回

コーポレートガバナンス強化に向けた取り組みの変遷

2003年4月執行役員制度の導入、2005年4月「ニチモウグループ企業行動憲章」制定、2008年12月内部監査室の新設、2016年6月監査等委員会設置会社に移行、2020年11月指名・報酬諮問委員会の設置

役員報酬制度

当社取締役の報酬等は、創業以来の経営理念である「会社は社会の公器であるとの精神に立ち、業界をリードする技術とサービスをもって広く社会の発展に貢献する」ことに則り、企業価値の向上および株価の上昇への貢献度等の対価として決定するものとすることを基本方針とし、基本報酬、業績連動報酬等としての賞与、非金銭報酬等としての株式交付信託による株式報酬で構成しています。

基本報酬 月例の固定報酬とし、役位ごとの業績への貢献度、経営状況、社会情勢、世間水準等を勘案のうえ、決定するものとします。また、監査等委員である取締役の報酬については、基本報酬のみとし、株主総会にその総額の上限を上程し、決議された範囲内で監査等委員である取締役の協議により決定しています。
業績連動報酬等としての賞与 役位ごとの業績への貢献度、社会情勢、世間水準等を勘案のうえ、業績評価指標に基づき、決定するものとします。なお、業績評価指標の算定方法は、当社として特に重視する指標である経常利益を基礎数値とし、中期経営計画や事業年度の達成状況により算定します。
非金銭報酬等としての株式交付信託による株式報酬 報酬と当社の株式価値との連動性をより明確にし、取締役が株価の変動による利益・リスクを株主と共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的として、1事業年度あたり15,000ポイント(1ポイント=1株)を上限に、役位ごとへの業績への貢献度等に応じたポイントを付与するものとします。なお、原則として取締役の退任時に付与された累積ポイントに応じた株式を交付するものとします。
基本報酬70%、賞与20%、株式交付信託による株式報酬10%

報酬構成比率

当社取締役の基本報酬(金銭報酬)、賞与(業績連動報酬等)および株式交付信託による株式報酬(非金銭報酬等)の個人別の割合は、役位ごとの業績への貢献度、経営状況、社会情勢、当社と同程度の事業規模や関連する業種・業態に属する企業の報酬水準等を勘案し、右記を基準としています。

取締役会の実効性評価

当社は、取締役会の機能を向上させ、ひいては企業価値を高めることを目的として、取締役会の実効性評価に関するアンケートを年1回実施しています。回答方法は外部機関に直接回答することで匿名性を確保し、集計結果を取締役会にて報告しています。

調査項目

取締役会の構成や運営方法、審議状況、社外役員との連携の状況など、取締役会に関連する全般的な事項について

実施方法

匿名性を確保するため、調査結果の回収・集計・分析を外部機関に委託しております。

実効性評価の結果

2021年度

おおむね肯定的な評価が得られており、取締役会の実効性は確保されているものと認識しております。
前回の調査の結果で認識した課題のうち、取締役会の議論については、第137期中期経営計画の策定や東証プライム市場の上場維持基準適合に向けた計画など、議論の機会が増えたこともあり、改善が進んでいることを確認いたしました。以降の課題として、前回の調査同様に、取締役会の構成の検討(社内取締役と社外取締役の比率、ジェンダーや国際性の面での多様性確保)などが挙げられたほか、取締役会の機能の更なる向上にむけて、役員のトレーニングについても改善の余地があることが確認されました。

2022年度

おおむね肯定的な評価が得られており、取締役会の実効性は確保されているものと認識しております。
前回の調査の結果で認識された取締役会の構成の検討(社内取締役と社外取締役の比率、ジェンダーや国際性の面での多様性確保)と取締役会の機能の更なる向上にむけた役員のトレーニングについては引き続き課題があると認識したほか、内部監査部門との連携など、取締役に対する支援体制について新たな課題があることが確認されました。

今後に向けて

今後も、本評価で抽出された課題について十分な検討を行ったうえで迅速な対応に努めるとともに取締役会の機能を高める取り組みを継続して進め、コーポレートガバナンスの一層の充実を図ってまいります。
また、サステナブル経営の推進による持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

社外取締役インタビュー
ニチモウの魅力を
もっと力強く発信すべき

社外取締役 監査等委員 明石 仁成

社外取締役 監査等委員

明石 仁成

社外取締役 監査等委員 菊池 達也

社外取締役 監査等委員

菊池 達也

社外取締役 監査等委員 平田 淳

社外取締役 監査等委員

平田 淳

社外取締役 監査等委員 明石 仁成、社外取締役 監査等委員 菊池 達也、社外取締役 監査等委員 平田 淳
ニチモウの事業について

ニチモウの事業活動への思いをお聞かせください。

■ 菊池
創業から漁船向けの漁網や資材を提供してきたニチモウは、1975年以降の「200カイリ規制」の影響を強く受け、そこから食品事業、機械事業を拡大させてきました。ニチモウはいまでも海洋に事業の軸を据える会社であり、海洋国家である日本にとって、極めて存在意義の大きい重要な会社です。ニチモウの社外取締役に就任してから8年目に入りましたが、海が大好きな経営陣、社員の方々の思いに触れ、みなさんの話を興味深く聞きながら助言をさせていただいています。
この3年間はコロナ禍の影響が心配でしたが、結果的にさまざまな困難を乗り越え、安定した業績を上げることができています。外食産業の打撃を、巣ごもり需要を捉えることでカバーするなど、事業ポートフォリオのバランスの良さが奏功しています。この3年間で機械事業も強くなりました。こうした点にニチモウの強さや事業の魅力を感じています。

■ 平田
2018年の社外取締役就任以来、110年以上の歴史を持つ企業の経営に携わることができ、大変光栄に思っています。長い歴史を持つ企業には多くの「暗黙知」が備わっていると言われますが、長い歴史のなかで醸成されたニチモウの社風、企業文化は、働いている多くの社員の方々にとって、非常に大きな精神的支柱となっているはずです。一方で、水産資源の枯渇や、日本および近隣諸国の食生活の変化など、事業環境の変化を受けた新たな課題への対応も必要で、社員の方々と手を携えて知恵を絞り出す必要があると考えています。

■ 明石
社外取締役就任は2022年6月と、まだ日は浅いのですが、グループ会社にいるためニチモウの事業については理解していたつもりでした。ニチモウの社外取締役就任後、あらためて感じたのは海洋産業に対する守備範囲の広さです。私自身も、また私の周囲にも、ニチモウの事業の素晴らしさを正しく理解していない方々が多くいると思います。SDGsへの関心が高まるなかで、海洋産業の活性化を通じて環境課題、社会課題の解決に貢献するニチモウの取り組みをもっと積極的に発信すべきだと思っています。私は社外取締役として、こうした情報発信にも貢献できればと思っています。

ニチモウのガバナンスと
サステナブル経営について

ニチモウのガバナンス、サステナブル経営について、
どのような評価をされていますか。

■ 菊池
コーポレート・ガバナンスコードのもと、企業のガバナンスシステムの高度化が進んでいますが、大切なことは「枠組み」の整備より「中身」の充実です。社内取締役、社外取締役が腹を割って本音で語り合い、議論を深めることこそが重要です。ニチモウは監査等委員会設置会社を選択し、優れたガバナンスシステムを有していますが、加えて、社内取締役と社外取締役が腹を割って議論をする場を積極的に設けるなど、「中身」の充実にも注力しています。例えば定例の取締役会の開催前には取締役会メンバー全員が集まるランチ会が設定され、それがカジュアルな意見交換のできる場となっています。

■ 平田
取締役会のメンバーが腹を割って議論をする機会があることは確かに重要です。ここにいる3人は監査等委員を務めていますが、松本社長、八下田専務と社内・社外の監査等委員4名による議論の場が四半期ごとに設けられています。フランクに議論ができる場となっており、非常に素晴らしい配慮だと思います。取締役会の実効性を高めていく取り組みは、ある意味では永遠の課題かもしれません。社外役員を含め、経営環境の変化に応じて不断の努力を続ける覚悟が必要です。

■ 明石
サステナブル経営の観点から申し上げれば、ニチモウには多くの可能性、取り組むべき課題があると思います。取締役会でも折に触れて議題に上るのが生分解性プラスチックの開発です。SDGsの観点、とりわけ環境汚染の抑止の観点で一番取り組みやすい分野ですが、まだまだスピード感が足りません。積極的に経営資源を投入し、開発のスピードを速めていくべきです。廃棄される漁網の再利用についても早急に答えを見つけ出す必要があります。

■ 菊池
サステナブル経営の観点で、ニチモウが早急に取り組むべき重要課題の一つに女性の活躍推進があると思います。海洋事業という特殊な領域で、かつニチモウ自体の知名度も高くないなかで、なかなか女性の採用が進まないといった理由はあるのでしょうが、女性を含めて多様な人材を確保し、豊かな発想ができなければ企業としての柔軟性が損なわれてしまいますし、重要な課題だと思います。

■ 平田
まさにそのとおりです。人材というのは、採用して配置すればすぐにパフォーマンスがあがるというものではありません。女性の管理職にしても、経営が意識を変えて女性管理職が組織にうまく溶け込めるようなカルチャーや仕組みをつくり上げる必要があります。女性の役員もまた然りです。また先日、監査等委員として紋別にあるグループ会社の(株)ヤマイチ水産を視察しましたが、人材の高齢化が進む中で、ベトナムなどからの技能実習生が活躍していました。機械の操作スイッチにフィリピン語の説明があるなど、実習生の方々に対するきめ細かい配慮がなされており、感銘を受けました。

ニチモウのポテンシャル

最後に、未来のニチモウに期待する点について、お聞かせください。

社外取締役 監査等委員

■ 平田
ニチモウには多くのグループ会社があり、私が社外取締役に就任した2018年以降でも、M&Aを通じて多くのグループ会社が加わりました。事業ポートフォリオの多様化は今後のニチモウの持続的成長に大きく貢献するものと考えています。今後はグループ会社間のシナジーの追求やノウハウの共有、統合を進めていくことが重要です。

■ 菊池
ニチモウには強い商品が沢山あります。例えば、かまぼこのすり身原料はライバルメーカーですらニチモウの商品を使っていたり、実はアメリカのメジャーリーグの野球場で使われているネットはニチモウから供給していたりします。エンドユーザーの目には直接触れづらいのですが、今後はこうした強い商品の存在を積極的に発信し、ニチモウのポテンシャルをもっとアピールすべきだと思います。

■ 明石
九州電力(株)などと進めているサーモンの陸上養殖を非常に楽しみにしています。まだまだクリアすべき多くの課題はありますが、半導体や映像技術の導入など、さまざまな産業との協創も視野に入れ、おいしい魚、魚嫌いの子どもでも食べやすい魚を是非つくってほしいと思います。

コンプライアンス

基本的な考え方

当社グループは、法令遵守はもとより「ニチモウグループ企業行動憲章」に定められた事項をはじめとする企業倫理・社会規範を徹底し、企業の社会的使命を果たすために「コンプライアンス・プログラム」を推進していきます。

コンプライアンス体制

コンプライアンス体制の基礎として、経営理念に基づき「ニチモウグループ企業行動憲章」および「コンプライアンス規程」を定め、グループ全社員に配布・周知し、取締役自らが率先垂範のうえ、グループ全体でその徹底を図っています。また、代表取締役社長を委員長としたコンプライアンス委員会を設置し、「コンプライアンス・プログラム」を維持・推進する組織として運用を行っています。

内部通報制度

組織的または個人による不正・違法・反倫理的行為について、その事実を会社として速やかに認識し、違法行為等による会社の危機を極小化かつ早期に解決する体制として、コンプライアンス担当役員が責任者となり、通報者を保護するための「内部通報制度規程」を設けたうえで、内部通報制度を運用しています。

内部統制

当社における内部統制は、その取り組みを通じて、業務の効率化と業務品質の向上に結びつけることにより、取締役の職務執行の適法性・効率性、さらには財務報告の適法性を高め、適切な開示を行うことを目的としています。また内部統制の目的を達成するために、「統制環境」「リスクの評価と対応」「統制活動」「情報と伝達」「モニタリング(監視活動)」「IT(情報技術)」の6つの基本的要素への対応が組み込まれた業務プロセスを整備し、その業務プロセスを確実に実行させる体制を整備しています。

リスクマネジメント

基本的な考え方

当社グループは、「リスク対策規程」を定め、企業経営に関わる危機、リスクについて基本的な対策を整備し、発生したリスクを極小化かつ早期に解決することとしています。問題が発生した場合の対応として「危機管理のガイドライン」を定め、不測の事態が発生した場合は、迅速な対応を行い、損失の拡大を防止する体制を整えるものとします。

事業継続計画(BCP)

災害時におけるBCPマニュアルを全社員に配布・周知し、いつでも確認・対応できるような体制を構築しています。
また、各種感染症の感染拡大時や地震などの災害時には対策本部を立ち上げ、マニュアルに則り従業員の安全確保と事業継続の対応を進めています。

食品安全性への取り組み

食品製造に関しましては、当社が責任をもって商品を供給するために食品品質管理室が主導となり、品質管理体制の構築・維持管理を徹底し、国内外すべての当社グループと協力工場で点検を行っています。工場の製造ライン、従業員の管理、各種帳簿等多岐にわたり、当社の求める基準をクリアしない場合には、当社の商品を生産することができません。異物混入をはじめとするお申し出については、事業に多大なるダメージを与えることから原因を究明し、即時改善の上引き続き、品質管理や従業員教育を徹底していきます。

サプライチェーン上のリスクと管理

現在、当社の事業領域におきましてもさまざまなサプライチェーン上のリスクに晒されています。長期化するロシア・ウクライナ問題の影響や急激な円安によるインフレ圧力の強まりなどにより、原材料やエネルギーの調達難・価格の高騰などが挙げられますが、それぞれ多様な販売ルートの活用や、調達地域の分散、リスクに応じた適正在庫の管理などの対応策を講じています。また、当社グループのリスク管理体制については適宜監査を行い、見直しを図っています。

情報セキュリティとシステム運営における管理

当社グループは「情報セキュリティ管理規程」を定め、情報システムの安全かつ合理的な運用および、個人情報や企業秘密等の情報資産の保護を図るために、必要な情報セキュリティを整備しています。
情報資産を脅威から保護し、適切な管理の下に安心して利用できる状態にすることを情報セキュリティと定義し、「機密性」、「完全性」、「可用性」を保証することとしています。
また、当社グループの情報システムの適切な運営を図るため、管理部門管掌役員を委員長とした「情報システム運営委員会」を設置し、情報システムに関する規程や組織・運営体制などを適宜見直し維持・推進する体制をとっています。

気候変動リスクへの取り組み

当社では、第137期中期経営計画で掲げるサステナブル経営の推進における具体的な取り組みの一つとして、気候変動問題を重要な経営課題として認識し、2023年4月にTCFD提言へ賛同を表明しました。加えて、取締役会の監督のもと「内部統制委員会」にてTCFDが提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、将来的に気候変動が当社事業にもたらすリスクと機会の影響度評価に着手しました。今後、財務に及ぼす影響の開示を含め取り組みを拡充いたします。気候変動への対応(TCFD提言に基づいた情報開示)の詳細はこちらをご覧ください。