トップメッセージ

Message from the President

はじめに

ニチモウの企業文化と強み

ニチモウグループの歴史は「変化を受け入れ、取捨選択をし、新しいビジネスを生み出してきた歴史」と言えます。
ニチモウの創立は1919年です。当時は沖合漁業や遠洋漁業が盛んで、漁船向けに漁網や資材を供給するメーカーとしてスタートし、漁業の発展とともに事業を拡大していきました。それが1975年からの、いわゆる「200カイリ規制」の始まりで状況は一変します。沖合漁業や遠洋漁業に逆風が吹く中、私たちは未来を見据え、改めて沿岸漁業に目を向けるとともに、輸入した水産物を国内で販売するビジネスモデルへの変革を進めました。そして今、アジアを中心とする世界的な水産物需要の増加や、気候変動の影響などによる日本近海での漁獲不振といった厳しい事業環境を目の当たりにし、さらなるビジネスモデルの変革に迫られています。変化を受け入れ、取捨選択をし、新しいビジネスを生み出してきたニチモウグループの歴史に、新たな1ページを加えるべき時期が迫っていると言えます。
私たちには「会社は社会の公器であるとの精神に立ち、業界をリードする技術とサービスをもって広く社会の発展に貢献する」という創業以来の揺るぎない経営理念があり、この理念はグループ内に深く浸透しています。事業環境が大きく変わる中にあっても、柔軟に対応し、常に顧客のニーズに目を向けて、確かな技術とサービスをもって社会に貢献していく。こうした考え方をもって行動することこそがニチモウグループの企業文化であり、私たちの持続的成長の原動力なのです。

中期経営計画と「サステナブル経営」について

前中期経営計画の振り返り

2020年3月期にスタートさせた3ヵ年計画である「第134期中期経営計画(これからの100年に向かって)」(以下、前中計)の最終年度が終了しました。前中計では「持続的な成長と新たな価値の創造」を目指し、「高収益体質の構築」「グループ連携の強化」「海外事業の拡大」という経営方針のもとに推進し、コロナ禍においても一定の成果をあげることができました。ニチモウグループは主に4つの事業分野(食品、海洋、機械、資材)があります。100周年という大きな節目を目前にした前中計の策定段階では、改めて競争に勝つための事業展開および差別化という観点に立って、ニチモウにしかできないことを模索しました。それを追い求めるためにはグループ連携による「シナジー効果」を発揮し、経営資源を集結させ、「組織力」に磨きをかけることによって、独自性のある商材・サービスを展開することが必要であると考えました。それらを通じて各事業の利益体質を再構築することで、グループ全体を4つの柱で支えていく構造をつくりあげることを、大きな目標としました。事業環境の変化が激しい時代にあっても、安定収益を確保できる事業体質に変えていこうと考えたのです。これについては、4年連続で経常利益が最高益を更新するなど、目に見える収益改善からもその目標を達成できたと考えています。また、ニチモウグループの4つの事業は17のグループ会社が支えていますが、前中計期間を通じ、長年目標としてきたグループ全社の黒字化と、それぞれの事業分野で親会社であるニチモウとグループ会社の連携強化が進み、全社で安定収益をあげていく経営体制が整ってきました。連結経営の仕組みはコロナ禍でも十分に機能しました。例えば食品事業では、旅館・レストランなど外食産業への販売ではダメージを受けたものの、家庭内消費が増えたことでスーパーや通販での販売を伸ばすことができました。また水産・加工業界向けに機械を供給する機械事業では、コロナ禍の影響で外国人労働者の確保が困難となり人手不足に陥った水産・食品加工事業者が、省人・省力のために加工機械への設備投資を増やしたことから機械の販売が好調に推移し、コロナ禍の影響による全体収益へのダメージを緩和することができました。

新中期経営計画と「サステナブル経営」

2021年12月には、2023年3月期を初年度とする3ヵ年の「第137期中期経営計画(Toward the next stage)」(以下、新中計)を新たに策定・公表しました。この計画は、「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」というニチモウグループの経営方針を具現化していくもので、「人」「事業」そして「未来」にフォーカスして新たな価値を創造していきます。

未来へ繋ぐ

未来へ向けて私たちが強く意識するのは事業規模の拡大とサステナブル経営です。事業規模については、既存事業の維持・発展と新規事業の育成により最終年度において売上高1,300億円の目標を掲げ、これに取り組みます。
そして新中計での大きなチャレンジとなるのが「サステナブル経営」です。水産資源の世界的な枯渇が懸念される中で、水産資源の保全を進めながらもアジアを中心とする旺盛な水産物需要に応えることが、SDGsにも通じる重要な社会・環境課題となっています。私たちが掲げるサステナブル経営は、「持続可能な社会への航路を拓く」ことを旗印として、海の豊かな資源の保全および、環境に配慮した生産と流通をサポートする責務を果たし、中長期的な企業価値の向上を目指すものです。海洋環境を守る取り組みの1つとして進めているのが、植物由来の生分解性プラスチック(PLA ポリ乳酸)を用いた「バイオマス漁網」の開発です。全世界が直面する海洋プラスチックごみ問題への対応や、従来の石油由来プラスチックを用いた漁網の製造・廃棄・焼却時に排出されるCO2を削減するため、「バイオマス漁網」を実用化しました。また、同じくCO2排出量削減に向け、廃棄漁網のリサイクルにも取り組んでいます。
このほか、水産物加工の安定供給体制の構築、アジアを中心とした海外市場の開拓、食品加工機械の海外販売体制の整備など、海外事業をさらに強化します。

事業を繋ぐ

事業規模を拡大させていくうえで重要なことが「グループ内事業連携の強化」です。漁獲から生産・加工および、製品の流通といった川上から川下までの全ての流れをグループ内で網羅し、親会社であるニチモウと17のグループ会社が連携し事業を展開することで、他社にない新しい価値をつくり出します。
その鍵を握るのが「養殖」です。輸入した水産物を国内で販売するビジネスの困難さが増す中で、日本の食卓を維持・確保していくための1つの答えが「養殖」なのですが、実は私たちは40年ほど前からこの養殖事業を展開しています。40年間で蓄積された養殖の技術やノウハウを活用し、いよいよ打って出る時が来たと考えています。養殖には「海面養殖」と「陸上養殖」という2つの手法がありますが、私たちは「海面養殖」に加え、新規事業として「陸上養殖」の事業化を進めています。これらの養殖事業についても事業間の垣根を越えたグループ連携で、養殖種苗や機資材供給から生育管理および販売までトータルにサポートしており、「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」を経営方針に掲げるニチモウグループを具現化した事業であると自負しています。

人を繋ぐ

このほか新中計において、グループ内部統制・IR活動の強化、働きやすい環境づくりなどにも取り組んでいきます。具体的には改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応など、東京証券取引所プライム市場への上場維持を視野に入れたコーポレートガバナンス体制の強化、また決算説明会をはじめとする「認知度向上」と「情報開示の充実」を意識したIR活動の強化にも注力していきます。
また働きやすい環境づくりとしては、働き方改革や女性の積極的な登用など、国際社会で必要とされる水準を意識して、積極的に体制の整備に取り組みます。

ステークホルダーのみなさまへ

蓄積された経営資源を未来のために活かす

ニチモウグループは100年を超える長い歴史を持つ企業であり、人・ノウハウ・技術・設備などが、競争優位性の高い経営資源として蓄積されています。これらの経営資源は、度重なる事業環境の変化に柔軟に対応し、進化を遂げることで獲得してきたものであると自負しています。
ただし、いかに価値ある経営資源であっても、それを今後の経営のために活かすことができなければ意味がありません。長く続けてきたことで獲得し蓄積した価値をこれからの事業にどう活かすかが重要なのです。
今後、さらに求められる企業の社会的責任や持続可能な社会の実現に向けて、私たちが培ってきた経営資源をフルに活用し、新中計で掲げる施策を推し進め、確かな成果を生み出していきます。

ステークホルダーのみなさまには、優れた経営資源を駆使して新たな成長に挑むニチモウグループの取り組みに、是非期待を寄せていただきたいと思います。