ニチモウのサステナビリティ

Sustainability Policy

サステナブル経営推進の取り組み

当社は、2023年3月期から2025年3月期までの3ヵ年における「第137期中期経営計画(Toward the next stage)」を2021年12月に策定・公表し、未来に向けた大きなチャレンジとして「サステナブル経営の推進」を掲げています。
企業活動として、水産物の漁獲~加工~販売にいたる流通過程をトータルにサービス提供する当社の責務として、海の豊かな資源の保全および、環境に配慮した生産と流通のサポートを行いながら、世界的な水産物需要の拡大に応えるサステナブル経営に取り組んでいきます。

ニチモウが目指す
サステナビリティへの考え方

ニチモウが目指すサステナブル経営は、創業以来の経営理念に則り、「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」を具現化すべく、グループの連携により、海の豊かな資源の保全および環境に配慮した生産と流通をサポートする責務を果たすことで、中長期的な企業価値の向上に努めていくことを主眼としています。これは昨今の自然環境や天然資源への保全意識が高まっている社会において、漁業・水産業を主たる事業領域として事業を展開する当社グループに強く求められているところであり、果たすべき責務であると考えています。

企業価値向上の観点から見ると、サステナブル経営を推進していくうえで重要視している海面・陸上養殖や自然環境下で生分解性を有するバイオマス資材など、持続可能な事業に対する注目度は高く、引き合いも多くいただいております。

またリスクマネジメントの面から見ると、海洋環境・資源への配慮を怠れば水産物の調達リスクが高まり、温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みについても、今後導入が検討されている炭素税の導入によるコスト増など、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があり無視できません。

以上のことから、現行のサステナビリティに配慮した事業活動を推し進めるとともに、新規事業への取り組みにも着手し、コスト上昇以上の企業価値の向上に努めてまいります。

また、これらの取り組みにおける計画・目標設定とその進捗・改善は、ISOのPDCAサイクルを活用して管理・適正化を図ることで、最短ルートでの目標達成を目指してまいります。

国連グローバル・コンパクトに署名

当社は、国連グローバル・コンパクト(UNGC)に署名し、2023年5月に参加企業として登録されました。これにより、UNGCが定める「人権・労働・環境・腐敗防止」の4分野に関わる10原則の遵守・実践を通して、サステナブル経営を一層推進していきます。

国連グローバル・コンパクトの4分野10原則

人権
労働
環境
腐敗防止
人権 原則1 国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重し、
原則2 自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである
労働 原則3 結社の自由と団体交渉の実効的な承認を支持し、
原則4 あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持し、
原則5 児童労働の実効的な廃止を支持し、
原則6 雇用と職業における差別の撤廃を支持すべきである
環境 原則7 環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持し、
原則8 環境に関するより大きな責任を率先して引き受け、
原則9 環境にやさしい技術の開発と普及を奨励すべきである
腐敗防止 原則10 強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むべきである

マテリアリティ(重要課題)

当社におけるマテリアリティ特定のプロセスでは、UNGCが定める10原則を世界共通の課題と捉え、そこから当社が事業展開する漁業・水産業における課題と、自社のビジネス環境課題との整合性を意識して重視する課題の絞り込みを実施。2024年3月期中のマテリアリティ決定を目指しており、決定後も、目標設定、エンゲージメント、継続的な改善を実施することで、活動の精度向上に取り組んでいきます。

ニチモウのマテリアリティ特定・
実践・精度向上のプロセス

ニチモウグループが重視する課題

1海洋環境の保全と持続可能な水産物の生産・供給に貢献する

環境

漁業・水産業を基盤に事業を展開してきた当社にとって海洋環境の保全は果たすべき重大な責任であり、これを全うすることが今後の事業継続および企業価値の向上に繋がるものであると考えております。また、地球温暖化をはじめとする気候変動や海洋汚染などによる海洋環境・水産資源への影響が今後益々大きくなることが予想され、これに対する予防的なアプローチとして、環境に配慮した海面・陸上養殖およびCO2排出量の削減に向けたブルーカーボン事業への参画などを推し進めてまいります。

当社が担うべき重要な社会課題

海洋環境と水産資源の保全、海洋プラスチック問題、
持続可能な生産・供給、 安全・安心な食生活の維持、フードロス

UNGC10原則の分類「環境」
  1. 07.環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持し、
  2. 08.環境に関するより大きな責任を率先して引き受け、
  3. 09.環境にやさしい技術の開発と普及を奨励すべきである
具体的な
取り組み
  • 環境負荷低減のための研究開発(海洋環境・水産資源の保全)
  • 自然環境下で生分解性を有するバイオマス素材の普及(海洋プラスチック問題)
  • 環境に配慮した養殖の展開(持続可能な生産・供給)
  • ISO14001を活用した環境マネジメント(海洋環境・水産資源の保全)
  • 安全・安心を届けるための取り組み(MEL認証、品質管理、フードロス削減)

2「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」を実現し社会課題に取り組む
多様な人材育成と、安心して活躍できる労働環境の整備

人権
労働

当社の存在意義は、事業領域である漁業・水産業において川上の漁獲・養殖生産から加工・生産、そして川下の物流・販売までをトータルにサポートすること、すなわち「業界のプラットフォーマー」であり続けることであり、そこに企業としての価値があると考えます。そして、この価値の源泉は当社の多様な人材であり、企業価値向上プロセスからバックキャスティングし、必要な力量を醸成する人材育成を重視しております。
また、大前提として一人ひとりが安心して働ける環境作りがあったうえで、事業活動を通じた社会課題への積極的な取り組みがあると考えております。ニチモウグループは働く人の多様性を積極的に取り入れるとともに安心して働ける人権の遵守と労働者の権利保護および労働環境の整備を徹底してまいります。

当社が担うべき重要な社会課題

人材育成、健康、ダイバーシティ&インクルージョン

UNGC10原則の分類「人権」
  1. 01.国際的に宣言されている人権の保護を支持・尊重し、
  2. 02.自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである
UNGC10原則の分類「労働」
  1. 03.結社の自由と団体交渉の実効的な承認を支持し、
  2. 04.あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持し、
  3. 05.児童労働の実効的な廃止を支持し、
  4. 06.雇用と職業における差別の撤廃を支持すべきである
具体的な
取り組み
  • 豊かな暮らしのための取り組み(働き方改革、女性活躍推進、健康経営優良法人認証)

3多様化するリスクへのマネジメントと企業規範遵守を
意識したガバナンスとコンプライアンスの徹底

腐敗防止

近年、気候変動が与える財務的インパクトリスクをはじめ、事業を運営するうえで様々なリスクに晒されております。このような状況下でも企業価値の向上および社会的責任を果たすために、法令遵守はもとより当社が定める企業行動憲章の規範を徹底しております。また、国連グローバル・コンパクトの定める「強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗」を防止する取り組みについても内部統制委員会および取締役会にて引き続き整備を推し進めてまいります。

当社が担うべき重要な社会課題

腐敗防止、ガバナンス体制強化、コンプライアンス体制強化

UNGC10原則の分類「腐敗防止」
  1. 10.強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むべきである
具体的な
取り組み
  • コンプライアンス(内部統制他)の徹底
  • コーポレートガバナンス・コードで要求されている全項目の充足
  • リスクマネジメントを含めたサステナビリティ推進委員会の設置検討

2050年カーボンニュートラルを目指した気候変動対応の推進

サステナビリティを巡る課題では、特に気候変動への対策として世界規模で温室効果ガスの排出量削減が求められています。
当社でも2050年までにカーボンニュートラルを目指して、CO2排出量の把握と削減および、TCFDの手法を用いた気候変動にかかる影響の分析を段階的に進めていきます。

バイオ・生分解性素材を
用いた海洋資材の開発

バイオ・生分解性素材を用いた海洋資材

長年にわたり積み上げてきたノウハウや知見から、バイオ・生分解性素材を用いた海洋資材の研究開発に取り組んでおり、漁網・ロープの漁具材料やイカ針、タコ壺、カキ管、土のう袋・フロートカバー(フィルム)等の実用化を進めています。
自然環境下で生分解性を有するバイオマス素材を用いた海洋資材であれば、損傷あるいは荒天によって海に流出した際にも、近年問題視されているマイクロプラスチックとして海に残留することなく、分解され自然に還るため、環境負荷の軽減につながります。また、製造・廃棄時のCO2排出量削減にも貢献します。

サステナビリティ
推進委員会設置の検討について

当社グループは、海の豊かな資源の保全および、環境に配慮した生産と流通をサポートする責務を果たし、「持続可能な社会への航路を拓く」ことで、持続的に企業価値を向上させるべくサステナブル経営を掲げ、その推進を司る場として「サステナビリティ推進委員会」の設置を検討しております。
現在の取り組みとしては、サステナブル経営の推進にあたり、2022年10月にISO統合マネジメントシステム(ISO9001+14001)を認証取得し、品質および環境配慮を重視した取り組みを行っております。この取り組みは経営陣のみならず、各部門単位で運営を行うことで、社員一人ひとりのサステナビリティに対する意識を醸成するもので、全体で持続可能な社会の実現に貢献するものです。
今後、取締役会への報告体制の構築を目指し、サステナブル経営の全社横断的な推進に取り組んでいきます。