特集2
特集2
近年、世界規模で健康志向の高まりや食文化の変化、供給網の拡大などから水産物の消費量が増加傾向にあります。また、地球温暖化による日本近海の海水温の上昇が進み、海洋環境や生態系への影響が懸念されています。
当社グループはこのような課題に対応すべく、40年以上にわたり取り組んできた養殖事業を通じて刻一刻と変化する環境下においても水産物の安定供給に取り組んでいます。
As A Leading Aquaculture Company
みらいサーモン
みらいサーモンを用いた料理
九州初のサーモン陸上養殖場として、当社と九州電力㈱、西日本プラント工業㈱、㈱井戸内サーモンファームが共同出資するフィッシュファームみらいが、トラウトサーモンである「みらいサーモン」を福岡県豊前市(九州電力㈱の豊前発電所内)にて生育しています。
現在は地元ならではの食材として、九州の銘店や一流のホテルにて採用され提供されています。
みらいサーモンは、当社グループが独自に開発した高品質な餌を与えているため海外産のサーモンと比較して色味が鮮やかであることが特徴です。そのほかにも旨み成分であるグルタミン酸が天然・養殖問わず他のサーモンより多く、その脂のりは程よく、食感がプリプリしていると高評価をいただいています。また、出荷時には当社が開発した電気鎮静化装置を用いてサーモンを鎮静状態にし活締めすることで、打ち身による品質低下を防ぎ高い身質を実現しています。
更に、2024年11月に福岡県北九州市にてJR九州が主催した「駅長対抗ご当地どんぶり総選挙」に「豊前(舞鮮)みらいサーモンの海鮮&スティックフライ丼」としてエントリーし、味と独創性などが評価され62団体が参加するなか、準優勝を果たしました。
これらの成果を基に、引き続きみらいサーモンのブランド化を目指し拡販を進めていきます。
水揚げされたギンザケ
陸上養殖以外にも当社は40年以上前から持続的な漁業を目指しギンザケの海面養殖に携わってきました。長きにわたり蓄積された知見やノウハウを活かし現在では日本各地の養殖事業のコンサルティングを行っています。
当社グループのように、開発や資材販売から成魚の販売までトータルサポートする企業は世界的に見ても少なく、その包括的なサービス体制は競合他社との差別化を図る重要な要素となっています。更に、世界的な人口増加に伴い食料の需要が高まることから持続可能なタンパク質生産は重要な事業であり、今後の成長が見込まれます。そのため、養殖事業の強化を目的として2025年4月に機構改革を行いました。
海面・陸上の新規養殖事業の参入・省人省力化システム等を提案する部署と餌料や成魚製品の販売を担う部署に分け専門性を高めることで、より迅速な対応ができるように編成しました。当社が一括してコンサルティングすることで顧客からの製品に対する要望を生産現場に直接反映できるだけでなく、窓口の一元化による効率化を実現することができます。
当社グループは長期的な目標として、自然災害のみならず気候変動が激しい日本にて得た知見やノウハウを活かし海外での事業活動も視野に入れています。
Development of Aquaculture Business
釧路での海面養殖
北海道における天然サケの漁獲量が大幅に減少し、近年では最盛期の漁獲量の半分以下の水揚げ量となるなど資源の枯渇が危惧されています。当社グループではその対応策として海面養殖事業の普及に取り組んでいます。
養殖のサケは冷凍または加熱された餌を与えているため、天然のサケと比べてアニサキスの寄生率が低く、アニサキスによる食中毒の心配がほとんど無いことから、天然の資源に依存していた北海道においてもサーモン養殖が注目されています。
それに加えて、北海道と本州の水温差を活かし水揚げ時期をずらすことで需要を掴み差別化も図っています。
また、ブランド化として釧路では「くしろ茜サーモン」(トラウトサーモン)と命名し、地産地消の一環として地場の餌を用いて生育しています。実証実験段階ではあるものの、生簀の運用を1基から3基に増やすなど事業化に努めています。更に、釧路以外にも、夏場でもより冷たい海域となる根室の沖合においてもトラウトサーモンの試験養殖を行っています。
今後もカントリーリスク回避などの観点から国内でのサーモンの需要は増していくことが予想されています。引き続き、当社グループは地場の漁師のみなさまと共に成長するべく養殖事業を推進し、付加価値の高い水産物の供給と安定した収益を得られるような仕組みづくりに貢献することで、持続可能な漁業の実現を目指します。