特集2

未来を見据える養殖事業

Special Feature 02

当社は40年以上前から持続的な漁業を目指しギンザケの養殖に取り組んでいます。
様々な魚種や養殖の実績を経て蓄積された知見やノウハウを活かし、現在では日本各地の養殖事業をサポートしています。

「浜から食卓までを網羅し繋ぐ」を
具現化した養殖事業

当社グループでは養殖魚の仕入れ・販売だけでなく生育管理や養殖資材全般の供給も担うことで、養殖の川上から川下までトータルにサポートしている唯一無二の企業体であり、グループをあげて養殖事業を推進しています。

課題天然水産資源の危機

水産物の漁獲・消費量は、世界規模での水産物需要の拡大により増え続けています。また、乱獲や適切な資源管理が行われていない国も多いことから世界的に過剰漁獲が問題となっています。更に、地球温暖化による海水温の上昇などによって天然の水産資源量にも影響が出ています。当社グループはこれらの課題に対して、蓄積された知見やノウハウを活かした持続可能な養殖業の展開および水産物供給に貢献することで対応していきます。

01 First Shipment of 'Mirai Salmon'

ニチモウグループの取り組み 1陸上養殖
みらいサーモン
初出荷へ

当社と九州電力(株)、西日本プラント工業(株)、(株)井戸内サーモンファームが共同出資するフィッシュファームみらい(同)は、九州電力㈱の豊前発電所(福岡県豊前市)敷地内において、2023年3月に陸上養殖場が完成し同年10月より「みらいサーモン」の販売を開始しました。

水揚げされたみらいサーモン

水揚げされたみらいサーモン

本養殖場は、約300トンの年間生産能力を誇る九州最大規模の設備で、年間を通じて高鮮度のみらいサーモンを安定して生産、供給しています。水質を一定に保つために、IoTやAIを活用した先進的なシステムを使用しサーモンが最も快適に育つ環境を整えています。また、海面養殖と異なり自然災害に左右されることなく養殖ができるほか、本養殖場では養殖魚から排出される糞尿についてはバクテリアを活用し分解処理をしています。更に、当社グループの(株)ニチモウマリカルチャーが提供する餌料は糞による環境汚染を抑制し水質汚染を軽減するなどグループ全体で環境負荷の軽減に取り組んでいます。
その結果、ストレスを抑えた健康なサーモンが育ち、その肉質は旨味が凝縮され、滑らかで豊かな味わいを楽しむことができます。

SAKANA&JAPAN FESTIVAL 2024

2023年8月には、東京ビッグサイトで開催された水産業界の国際見本市である「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」にコロナ禍を経て4年振りに出展しサステナブルをテーマとしたブースを展示しました。ブースでは陸上養殖で元気に育っているみらいサーモンの様子をライブ配信し来場者の注目を集めました。また、新たに会社紹介動画を作成し、ダイナミックな映像で陸上養殖やその他のサステナブルな取り組みを紹介しました。
また、大阪府の扇町公園で2024年3月に開催された「SAKANA&JAPAN FESTIVAL 2024(魚ジャパンフェス)in 大阪・扇町公園」にブースを出店し、みらいサーモンの刺身、炙り、漬けの3種類を食べ比べできる丼を販売し、好調な売れゆきとなりました。引き続きイベントなどへの積極的な参加により認知度を高めブランド化に努めてまいります。
今後は約3,000トンの生産を目指し検討を進め、食料の安定供給や海洋資源の保全などSDGs達成にも貢献してまいります。

02 Sales of Aquaculture Cages Made from Recycled Fishing Nets

ニチモウグループの取り組み 2廃棄漁網リサイクルの
養殖生簀を販売

リサイクル漁網を用いた養殖生簀

当社グループの(株)ニチモウマリカルチャーと日本農産工業(株)の共同でポリエチレン製リサイクル漁網を用いた養殖生簀を開発し販売を開始しました。

リサイクル漁網を用いた養殖生簀

久慈育ち琥珀サーモン

漁網の水平リサイクルによって、製造された漁網を養殖事業に使用する例は今までにない新しい取り組みとなります。本製品は、廃棄漁網をリペレット化した樹脂を10%~15%配合し作製することでCO₂排出量削減や資源の節約に貢献しています。
なお、本製品を岩手県久慈市と宮城県女川エリアに計6張り導入しました。天然のサケが記録的な不漁となる中、久慈市では「久慈育ち琥珀サーモン」、女川エリアでは「みやぎサーモン」として両養殖生簀のギンザケは順調に育ち3月下旬より初出荷を開始しました。
また、久慈市では今年度から回転寿司でも人気の高いトラウトサーモンの稚魚を投入し無事に出荷をしました。来年度には養殖生簀を2張り増設するなど生産量の増加に向けて引き続きサポートしてまいります。
更に、環境に配慮した生簀で生育したギンザケ・トラウトサーモンに付加価値をつけて流通するなど当社グループ内の一貫体制で地方創生にも貢献いたします。

  • 水平リサイクル:リサイクルの前後で製品の用途を変えないこと