石田が担当するのは漁具資材の営業、商材は各種漁網や網を巻き上げる漁撈機器などである。これらの商材を中国・台湾・韓国をはじめとした海外の漁業会社に向けて販売する。「英語はもともとしゃべれなかったのですが、仕事を通じて徐々に身につきました。最初の頃はメールひとつ書くのに30分かかっていましたが、海外でのプレゼンなどを経験するうちに問題なくコミュニケーションが取れるようになりました」現在進行中なのが、東ティモールの漁業会社に新しい漁船を造って納めるプロジェクト。船自体はインドネシアで造られているが、将来的には東ティモールまで出向いて漁師への指導も行う予定だ。「東ティモールには柱となる産業が乏しく、国策として延縄漁業を始めようとしています。経験者がいないため、導入する機器の使い方などを指導する必要があります。産業を一から作り上げていけることにワクワクしています」

石田が注目しているのは、環境負荷を低減させる資材だ。世界的にSDGsや脱炭素への対応が求められる中、環境に優しい資材の普及を目指す。「漁業は国際的なルールのもとで行われており、そのルールの変更に対応できなければ、市場に残ることすらできません。最近は漁業においてもカーボンニュートラルの推進が世界的にトレンドとなっています。例えば、漁船から排出されるCo2を、藻場を形成することで循環させるなど様々なアイデアが生まれています。これらに対応した商材を普及させることで持続可能な社会に貢献していきたいと考えています」サステナブル経営はニチモウの中期経営計画にも掲げられており、環境への対応は企業成長にとって欠かせない取り組みとなっている。海洋をフィールドとするニチモウにとっても避けては通れない課題だ。「環境に配慮しながら利益を出していかなければ企業の未来はありません。顧客企業の環境への取り組みを利益が出るようにコーディネートするなど、ニチモウが貢献できることはたくさんあります」