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Project Story リーダーが語るニチモウの未来 陸上養殖プロジェクト

海面養殖で培った経験をもとに ニチモウ初となる 陸上養殖プロジェクトの 立ち上げを牽引

海洋事業本部
養殖開発室 室長
戸川 富喜

世界的に注目されている陸上養殖

ニチモウでは養殖場の開発・運営のサポートも行っている。養殖関連事業に30年にわたり従事し、さまざまな養殖場を開発してきたのが、養殖開発室の戸川富喜だ。戸川が現在進めているプロジェクトの一つが、「みらいサーモンプロジェクト」。これは、九州電力発電所の敷地でトラウトサーモン(ニジマス)の陸上養殖を行う事業であり、九州電力をはじめ、ニチモウ、西日本プラント工業、井戸内サーモンファームが出資している。
陸上養殖とは文字通り、陸上に人工的な飼育環境を作って行う養殖法。サーモン類の養殖は低水温であることが条件となるため、海・湖・川といった自然の環境を活かして行う養殖法は実施可能なエリアが限られる。だからこそ、自然環境に左右されない陸上養殖は近年注目を集めているのだ。
「世界中の海で海水温が上昇し、台風などの自然災害も激甚化しています。これらは海面養殖にとっては致命的なリスクです。こうしたリスクを避ける意味からも近年は陸上養殖場が増えてきています」と、戸川はいう。
こうした背景から生まれたのが、九州電力の「発電所を活用した陸上養殖場を作る」というアイデアだ。そして、それを実現するために力を借りたいと戸川に連絡が入った。

事業化に向けて実証試験をスタート

戸川が養殖場の候補地である発電所を見学してみると、陸上養殖に必要不可欠となる安定した電力供給体制や取水・排水機能といった点で好条件が整っていることに驚いた。福岡ドーム7個分の敷地は、将来的に養殖場を広げたり、加工場を併設したりすることも可能だ。「これはいける」と考えた戸川は、早速、試験プラントでの養殖試験に取り組み始めた。
養殖魚を管理する試験プラントは、モニタリングなどのために人が常駐する必要がある。給餌をしなければならないし、設備トラブルに備えて常時監視しなければならない。水槽のポンプが止まってしまうだけでも、中の魚は全滅してしまう。陸上養殖にとって設備の故障はそれほど致命的である。
とはいえ、常駐モニタリングに割ける人員は、戸川自身のほかプロジェクトメンバー2名のみ。とくにプロジェクト初期は土日を戸川が担当し、東京と発電所を行ったり来たりしていた。
「養殖の難しさも含めてプロジェクトメンバーに伝えたいと思い、ニチモウの養殖場や育てた魚の販売先に同行してもらい、養殖事業の全体像を見てもらったりもしましたね」

事業化の可否を決める会議での
プレゼンテーション

試験の最終段階は、「このプロジェクトを実際に事業化するかどうか」を決定する会議だ。戸川はこれまでの試験結果の報告に加え、試験プラントで育てたみらいサーモンとスーパーで買ってきたサーモンを用意し、それぞれ刺身とスモークサーモンにして寿司職人に握ってもらい、関係者に試食してもらった。息を凝らして見守る中、次々に「これはうまい!」という声があがり、満場一致で事業化が承認された。
福岡の水でサーモンが順調に育つか試験し、1年かけて養殖事業が成り立つことを確認できた。その後、プラントの建設がスタートし、2年の歳月を経て、プラントが稼働した。
「プラントが動き出した際にさまざまな陸上養殖場を見てきた某寿司チェーンのバイヤーが視察に来られました。その方に『今まで見てきた中でこの養殖場が一番進んでいる。ここがうまくいかなければ、日本での陸上養殖は無理だろう』といってもらえた時は心底うれしかったですね」

純国産陸上養殖の発展に向けて

現在、陸上養殖場の運営は、新たに設立した合同会社フィッシュファームみらいが行っており、同養殖場は現状における最新の設備を備え、日常飼育はほぼ人の手を使わずに行うことが可能だ。
また、使用している電力は風力、水力、太陽光から作られたグリーン電力のみ。海への排水もクリーンに濾過しており、SDGsの観点からも評価されている。
待望の初出荷に備え、現在は成長度合いや肉質、色目などの品質を検証中だ。今年度は150トンを出荷する見込みで、次年度は倍の300トンを出荷する予定。将来的には海洋事業の持つ養殖技術に加え、食品事業の持つ販売ネットワークや機械・資材事業の加工、流通に関するノウハウを集約し、海外向けを含めて年間3000トンの出荷量を目指す。
「福岡という立地は東アジアへの便が頻繁に出ており、距離も近いことから、ソウルや上海、台湾、タイ、シンガポール、ベトナムといった地域に、冷凍ではない、高鮮度のサーモンを届けることができます。まずは九州と千葉に出荷して評価してもらい、そこから日本全国・海外に展開していく予定です。国内ではさまざまな事業者が陸上養殖に取り組んでいますが、海外資本が入っているところが多い。私たちは純国産グループとしてこの事業を成長させていきたいと思います」

キャリアステップ

  • 入社1年目養殖開発部 雄勝(おがつ)事業所(宮城県)

    雄勝町で冷水域の養殖の研究所で1年間クロソイの種苗(しゅびょう:養殖用の稚魚や卵)生産に携わる。

  • 入社2年目養殖開発室 御所浦(ごしょうら)事業所(熊本県)

    暖水域の魚である真鯛の養殖に取り組むため、新たな研究所の立ち上げ&安定化に携わる。

  • 入社6年目大阪支店 海洋チーム

    大阪支店の海洋チームで魚網や養殖関係の営業従事。

  • 入社12年目バイオティックス部 大阪駐在

    養殖飼料をきっかけとした健康食品向け大豆イソフラボン事業の立ち上げ。

  • 入社17年目海洋営業部 近海魚チーム

    新しくできた近海魚チームにて未利用魚を加工し、付加価値をつけて販売する事業に携わる。

  • 入社20年目ニチモウマリカルチャー 東京事務所出向

    東日本大震災で被害を受けた冷水域の養殖場を子会社のニチモウマリカルチャーにて立て直し。震災前の2倍の数量に伸ばし、完全復活させた。

  • 入社31年目養殖開発室(ニチモウマリカルチャー兼務)

    ニチモウ養殖事業の新規案件の立ち上げ。みらいサーモンプロジェクトのほかに、地元の漁協組合の養殖場を主体に開発・運営をサポート。宮城の7業者をはじめ、岩手の久慈市漁協、北海道のせたな、泊、釧路、根室の漁協と一緒に進めている。

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